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聴診器デジタル化ユニット「ハミングバード」を開発

更新日:2020年5月20日

 弊社は、小児科専門医の道海 秀則 医師と共同で19世紀に発明されて以来約200年間進化のなかった聴診器をアップデートする聴診器デジタル化ユニット「ハミングバード」(特許出願済み)を開発しました。



■聴診器デジタル化ユニットとは?

 今回開発した『聴診器デジタル化ユニット』は、医師が所有している聴診器に後付で装着する事で簡易にデジタル化するユニットです。

 すでに欧米では電子聴診器が登場しFDA認証を得る製品も出て普及の兆しを見せていますが、多くはチェストピースを備えた独立した聴診検査機器です。

 シェアメディカルは聴診器を利用する医師に対して多くのヒアリングを実施。医師の多くがブランドや価格より性能や音質を重視し、買い換えるとしたら次も同じ製品を買うと回答している点に着目しました。

 そこで、すでに医師が所有し性能や音響特性を知り尽くしている愛用の聴診器(チェストピース)そのものをアップデートしデジタル化する独自の機構を開発しました。


■聴診器がデジタル化することによるメリット

 医師や看護師が臨床で愛用する聴診器をデジタル化する事で多くのメリットが生まれます。それはレコードがCDになり、カセットテープがiPodに進化したように聴診器もまたアナログからデジタルへ進化することで聴診の定義そのものを進化させるインパクトを秘めています。


■ユースケース

  1. 在宅診療で素早い他職種連携 訪問看護師もバイタル確認と合わせ聴診を行います。従来異常を見つけてもそれを心音や肺音は言語化できないため医師に正確に伝え共有し記録する方法がありませんでした。ハミングバードを使えばその場で録音しメディラインを使って他職種チーム内で共有し、すばやく対応することが可能になります。

  2. 医学教育と共有化 聴診は教科書など座学で学ぶことが難しく場数を踏むしかありません。心音や肺音を気軽に録音できるようになるので院内カンファレンスなどで共有する事が可能になり聴診力の底上げが可能になり医学教育が大きく進化します。

  3. 心音/肺音モード搭載 内蔵したDSP(デジタルシグナルプロセッサ)によって高感度音響センサーが捉えた微弱な生体音から心音や肺音を強調し抽出するリアルタイム処理を行う事ができます。今後は循環器科や呼吸器科、消化器科など診療科ごとに医師が必要な波形を強調する事が可能です。またこれらのフィルタはアップデートプログラムによってアップデート可能なため常に最新に進化します。

  4. 環境ノイズを減らすノイズリダクション機能 デジタルシグナルプロセッサを搭載し騒がしい診察室内でも正確な聴診が行えるようにノイズリダクション機能を実装しています。

  5. 医師の働き方改革にも 加齢に伴い聴力が落ちてくるのは医師とて同じこと、ハミングバードはアンプ内蔵のためボリュームを上げれば不自由なく長年培った医師の技を患者さんのために使えます。

  6. 遠隔診療に「耳」をプラス 従来の遠隔診療はカメラで見た映像だけでした。これでは正確な診断を行うのは情報が不足しています。そこでデジタル化し患者さん自身や家族が聴音を行い遠隔地の医師が聴診を行う事で、遠隔診療は初めて「眼」と「耳」を持つことが出来るようになり診断を行うための情報量は飛躍的に増加します。

  7. Bluetooth、USB Audio出力を搭載 お好きなヘッドフォン/イヤフォンを利用できます。また従来の高価な専用機材を用いずに気軽にPCやスマートフォンにデータを転送出来ます。


■開発のキッカケと将来展望

 開発のキッカケは一人の医師の悩みから始まった。「学校検診で1日に100人も聴診すると耳が痛くなる」聴診器のイヤーピースで耳介が圧迫されて痛い。おそらく世界中の内科系ドクターなら共通の悩みでしょう。この200年の悩みを解消する。ハミングバードを開発に至る発端でした。

 19世紀のフランスで発明された聴診器は形と素材を変えながらも聴診器自体の基本構造はほとんど進化していない。白衣姿で聴診器を首からかけた姿は医師のアイコンとして世界中で定着している。一方、心音や肺音は相変わらず現在に至るまで一人の医師が聴いて、診断を下し、カルテに診断内容を書き込んで終わりとなる。聴診器から聞こえる音は、録音されることも、他の医師と共有されることもなかった。ハミングバードはデジタル化され劣化のないデジタル音声データとなり、後世の医学生の良き教材として、また、チーム医療での医療情報として最適な形でカルテと共に継承される。また常時装着することで今まで観察が難しかった心疾患の徴候を掴むなど、聴診の定義を変えることも可能になるだろう。


■聴診器のマーケット

 世界の聴診器市場規模は3億2770万米ドル(362億円)と評価されており、2014年から2025年にわたって年平均成長率(CAGR)4.7%で成長すると予想されている。

 世界的な循環器疾患および呼吸器疾患の増加、医療費の増加、高齢者人口の増加、特に65歳以上の人々は慢性疾患を発症するリスクが高く、WHOによると60歳以上の世界人口は2015年の9億人から2050年までに20億人に達すると予想されており、こうした人々の増加が市場を牽引すると予想される。なお日本での市場規模は年間約95億円のマーケットであり、景気に左右されず年平均成長率(CAGR)3.7%で安定的に成長を続けている。

矢野経済研究所「機能別ME機器市場の中期予測とメーカーシェア(診断機器編)」

 本製品は、新製品に置き換えるのではなく既存の機械式聴診器をアップグレードしデジタル化するアプローチのためこれから保有する医療者だけでなくすでに聴診器を保有する全ての医療者が顧客対象となる。販売目標は初年度1万個を目指す。




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